脳のしくみについて書かれた本※を読んだが、脳の編成は20代で終わり、30歳以上になると脳のネットワークを密にし、過去の経験に関連させる能力が飛躍的に伸びると書かれていた。高校の頃から論理的思考が発達し始め、30歳以上から伸び始めるそうだから、大学の多くの学生は脳内のネットワーク作りが進行中ということになる。すると、やはり座学で授業を受け、暗記してテストを受けるだけというのは適切ではないだろう。

ただ、大学改革だけを進めて「さあ質問しなさい、ディスカッションしなさい」と言っても受け身で育ってきた学生たちは周りを見回してどうしていいかわからないだろうから、大学に入る前から質問や議論をする習慣があった方がいい。習慣作りは高校まででも必要なことだと思われるが、授業の時しかやらないというのでは何年英語を勉強しても英会話ができないのと同じになりそうな気がする。

それに学校の授業でやるにしても簡単ではない。私が中学生の時、新聞の社説を読ませ、その感想文を書かせる社会科の先生がいたが、保護者からクレームがあってやらなくなった。クレームというのは受験に関係ないからやめろということだったらしい。区立の中学校だったが有名私立高校に進学する生徒もいて、保護者がお受験に熱心だった。約40年も昔でそうだったのだから、モンスターペアレンツを相手にする今の学校の先生は、大切だと思っていてもできないことが多いだろう。

大学が変わるために企業の見方が変わる必要があり、それは学生の求職者を出身大学で色分けしないことだとすると、採用担当者が家に帰って大学を偏差値やブランドで色分けするような価値観を子供に押し付けていては話にならない。奥様方の井戸端会議で「鈴木さんの息子は東大に合格よ、すごいわね~。木村さんとこは聞いたことも無い三流大学よ」などという会話は相変わらずなくならない。子供を東大に入れるノウハウ本まで出版されている(東大生をバカにしているわけではない)。

鶏と卵のような話になるが、どこから手を付ければいいのだろう。大学改革は難しいと改めて思う。

※新潮文庫「海馬 脳は疲れない(池谷裕二、糸井重里)」

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